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「爆破予告者」の犯人像と日常生活における注意点(過去寄稿記事から抜粋)



 5月6日、全国で犯行予告が相次いだ。

 那覇市では、那覇市文化振興課宛に、「午後1時34分に施設を爆破する。たくさんの人間が死にます」という内容のメールが届き、7日昼すぎに那覇市役所で誰の物かわからないスーツケースが見つかり、市役所にいた人を避難させた騒ぎがあった。スーツケースは来庁者の忘れ物と判明したが、爆破予告は悪質ないたずらとみて警察が捜査を行っている。

 

 また、同日、新潟県上越市本城町の高田城址公園オーレンプラザなど2カ所に「施設を爆破する」旨のメールが届いた。爆破予告時刻は7日午後1時34分で、前述の那覇市の事件との関連も指摘され、同様のメールはさいたま市にも届いたほか、南相馬市などにも届いている。

 

 これら爆破予告は、施設利用者等の避難を強いるほか、市民に多大な不安を与え、各施設や警察業務を著しく阻害する極めて劣悪な犯罪で、犯行態様によっては威力業務妨害罪や偽計業務妨害罪、脅迫罪等の犯罪の構成要件を満たす。


過去最悪の被害をもたらした「恒心教」事件

 2023年8月には、過去最悪の被害を出した事件が摘発された。全国の学校や自治体、企業などに爆破や殺害を予告するファクス30万件以上が送信され、20代の男2人が威力業務妨害の疑いで検挙されたのだが、男らは、ネット経由でファクスを大量送信するサービスを使用、この際に匿名化ツール「Tor」を経由してアクセスしていた。

この匿名化ツールなど、幾重にも偽装を行う手法が捜査を困難にしている実情があるが、本件は警察の緻密な捜査により検挙に至った。


爆破予告者の動機と犯人像

 爆破予告を行う者の動機はどこにあるのだろうか。近年の爆破予告事件の動機は、いたずら目的、自己顕示欲、憂さ晴らしといったものがほとんどだ。

2009年、財津亘氏による調査研究「最近10年間の爆破予告犯罪における犯人像の分析」によれば、警察資料・ネット・新聞を基に、1999年から2008年6月までに発生し検挙された80名の事件情報を収集し調査した結果、電話および電子ツール(ネット掲示板や電子メール)を使用して爆破予告を行った犯人の動機は以下の表のように示された。

 また、電子ツールによる爆破予告では、電話に比べていたずら目的の動機で大きく差分が出ていることがわかるほか、金銭目的の部分でも大きな差分が確認できる。

また、犯人像について、電話および電子ツールを使用して爆破予告を行った犯人の犯罪歴や爆破予告対象との関係でも顕著な傾向が見て取れる。

 本調査研究は今から15年前のものであり、現在と社会情勢やSNSの普及など犯行予告に使用できるツールの違いも大きいことから、あくまで参考にとどまるが、本研究が示す傾向は興味深い。


 そこで、筆者が、公開情報に基づき最近5年間(2020年~2024年5月現在)における電子ツール(SNS、ネット掲示板、HP問い合わせフォーム への連絡、電子メール、インターネットFAX送信サービス)を利用した爆破予告の検挙事例19件を確認したところ、前述の傾向を示す類似の内容が確認できた。

・犯人の年代は、20代以下が84%を占める

・ 全て「憂さ晴らし」「いたずら」「逆恨み」の動機によ

・ 犯人と犯行予告対象との関係について、84%が関係なし

なお、参考ではあるが、同期間で電話・手紙を使用した爆破予告は15件確認でき、その内容は以下の通り。

(続きは東洋経済オンラインにて→LINK


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